受験生のみなさん,共通テストお疲れさまでした.
問題の構成
問題の構成はこんな感じでした.
第1問 30点
〔1〕数と式 10点
〔2〕三角比 6点
〔3〕三角比 14点
第2問 30点
〔1〕2次関数 15点
〔2〕データの分析 15点
第3問 20点
確率
第4問 20点
整数
第5問 20点
初等幾何
去年と比べると,第1問と第2問の内訳が少し変わったくらいです.去年の第2問〔1〕にあったような変な問題はなくなりました.
問題を解いた雑感
第1問
〔1〕ふつうに解ける問題で易しいです.
〔2〕内容はとても簡単ですが,「小数を四捨五入して答える」ことは把握できていたでしょうか.去年は表紙だけでなく問題文中にも説明があったのに対して,今年は表紙にしか説明がありませんでした.
〔3〕(1)は簡単ですが,(2)の「トナ」は難しいです.三角形の1辺が円の直径以下であることに着目すればよいのですが,見慣れない設定なのでパターン的に処理はできず,試行錯誤が必要です.ここができなくても「ニヌネノハ」は解けます.「トナ」と「ヒ」の6点分は落としても仕方ないでしょう.
第2問
〔1〕(1)(2)はふつうに解けます.
(3)もふつうに解けます(平行完成して頂点の動きを見ればよい).45ページのグラフソフトと挿絵には何の意味もありません.
(4)はちょっと難しいです.まわりくどい表現になっていますが,2つの不等式の解の包含関係を調べるだけです.q=5からq=9に向かってグラフがどのように動くかを(3)と同じように考える,というのが模範解答だと思いますが,実際には穴埋めなのでq=6などの場合を調べるだけでも答は出ます.
〔2〕データの分析は去年もくだらない問題ばかりでしたが,今年はもっとひどくなりました.難易度は高いですが,こんな問題は解けなくても仕方がないと思います.
(1)ヒストグラムから第1四分位数,第2四分位数,第3四分位数が入る階級を探します.ふつうに解けますが,「ス」は引っかかっても仕方ないでしょう.
(2)箱ひげ図とヒストグラムに対応する散布図を選択する問題ですが,4つの選択肢のうち3つにはすぐに分かるような違いがありません.散布図の点を数えて横軸の第1四分位数,第3四分位数を見ると答が出ますが,難易度の高い「間違い探し」のような問題です.時間がかかるので,飛ばしても仕方ないでしょう.
(3)前半は735.3÷(39.3×29.9)を計算するだけですが,時間がかかるので飛ばしても仕方ないでしょう.後半は平均値を見て②か③にしぼれますが,相関係数を見てもどちらが答なのかよく分かりません.相関係数に対応する散布図を見た目で選ぶ問題は(これまでも何回か出題されていますが),選択肢に「だれが見ても明白」というはっきりとした違いがない限り出題してはいけないと思います.今回の問題は不適切だと思いました.
第3問
完全順列という有名な話題に関する問題ですが,知らなくてもふつうに解けるでしょう.標準くらいの難易度です.
第4問
定番の不定方程式を,変わった誘導で解く問題です.(1)(2)は簡単で,(3)は何をしているか分かりにくいですが,状況を理解しなくても誘導に従えば答は出ます.(4)は難しいです.(3)の方法を真似してxが求められ,そのあとyは計算するだけですが面倒です.
整数問題は最近4年くらい,ちょっと凝りすぎだと思います.もう少し素直な問題でよいのでは.
第5問
ふつうに解ける問題だと思います.初等幾何はここ数年で難易度が安定していて,やや難しい程度です.
受験生へ
今年は第2問〔2〕のデータの分析がひどい出題でした.配点が15点なので,70分の15/100で10分くらいで解けるところだけ拾えば十分です(半分も取れていない人が多いと思います).残りは変な問題はありませんが,難しい問題がいくつか入っていたので,うまく解けるところを拾うような解き方をしないと厳しかったでしょう.全体として,難関大志望者でも70点くらい取れていれば悪くないと思います.標準レベルの大学なら50点くらいでも勝負になると思いますので,あまり点数がよくなかった人も気持ちを切り替えて2次試験対策をがんばりましょう.